松江幽玄奇譚(まつえゆうげんきたん)

いま、静かな旅が始まる
小泉八雲の写真
小泉八雲

彼が見つめた「見えない世界」を、現代の私たちがもう一度体験するための旅でもあります。

語られざる物語に耳を傾けた先人、それが小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)です。

明治期に来日し、松江での生活を通して日本の怪談に深く魅せられた彼は、目に見えないもの、語り継がれる声に静かに寄り添い、その情景を物語として世に遺しました。

『松江幽玄奇譚』は、
静かな気配に触れるためのツアーです。

語られざる物語に耳を傾けた先人、それが小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)です。

明治期に来日し、松江での生活を通して日本の怪談に深く魅せられた彼は、目に見えないもの、語り継がれる声に静かに寄り添い、その情景を物語として世に遺しました。

スポット

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ギリギリ井戸

ギリギリ井戸の写真

松江城を守るため命を懸けた若侍がいた。敵の気配を察し、仲間を守るために井戸の近くまで追跡した彼は、そこで姿を消した。見つかったのは、水底に沈んだ鎧の一部と結び文だけ。夜になると井戸から「誰か、そこにいるか」と呼ぶ声が聞こえるという。それは命尽きる瞬間に放たれた、彼の最後の言葉だと伝えられている。

その声はまだ、 忘れられたまま 井戸の底に

ここでの体験

参加者が井戸の中をのぞき込むと、風と共に語り部の声が響く。光を反射して揺らめく水面には、一瞬「誰かの顔」が映る演出あり。最初の恐怖と好奇心を高める開幕の章。

足跡のイラスト

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塩見縄手

塩見縄手の写真

江戸時代、雪の夜に白衣の女が現れた。静かに塩見縄手を歩き、言葉もなく、ただ雪の闇に溶けてゆく姿。ある夜、若い侍がその女を追ったが、翌朝、通りの端で凍えたまま座るようにして亡くなっていた。その表情は安らかで、どこか微笑んでいたとも語り継がれている。あの夜、何を見たのかは、誰にもわからないままだ。

今も歩き続ける、 墓前に囁く 夫婦の契り

ここでの体験

石畳の道を提灯を手にして歩く。語り部が「雪の気配」のような静かな語りで案内。時折、白い布のようなものが遠くを横切る視覚演出も。

雪女のイラスト
足跡のイラスト

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月照寺

月照寺の写真

この寺には、藩主と共に眠るはずだった正室の墓がない。生き別れたまま再会できなかった妻は、何度も寺を訪れ、静かに手を合わせた。夜になると石段のあたりで、誰もいないはずなのに祈るような声とすすり泣きが聞こえるという。その声に耳を澄ませた人は、夢の中で、白装束の女に語りかけられたと話す。

今も届かぬ、 約束の墓前の声

ここでの体験

ぼんぼりの灯に照らされた墓前で語り部が語る、静かな愛の怪談。風に揺れる木々、鈴の音、幻想的な雰囲気を演出。

月照寺の亀のイラスト
足跡のイラスト

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大雄寺

大雄寺の写真

かつてこの寺の鐘は、夜の十二時にだけ鳴ると言われていた。鐘つき役の男は毎晩音を響かせていたが、ある晩から音が消えた。翌朝、男の姿は見当たらず、足跡も残されていなかった。それ以来、深夜ちょうどに「カーン…」という鐘の音が響く夜があるという。その音を聞いた者は、しばし時間の感覚を失ってしまうらしい。

今も届かぬ、 約束の墓前の声

ここでの体験

鐘の前で語り部が怪談を語る最中、音が鳴る。振り返っても、そこには誰もいない。最後に強いインパクトを与える終章。

ひとだまのイラスト

語り部

朽木 遼

  • 松江怪談文化保存会 特別案内役
  • 語り部師範
「朽木 遼」の写真

経歴

島根県松江市出身。祖父は地元の民話・伝承の収集家で、幼い頃から「八雲の怪談」や「松江の不思議話」を聞いて育つ。大学卒業後、県内の図書館司書を経て、語り部の道へ。現在は松江城下で、観光案内と語り部活動を融合させた体験型ツアーを主催。舞台経験もあり、語りの声と間の取り方に定評がある。

コメント

怪談とは、ただ「怖がるための話」ではありません。それは、人の記憶に触れるための「静かな鍵」のようなものだと、私は思っています。

この松江という町には、静かに語られてきた話がたくさんあります。八雲が拾い上げた声、地元の人が心の奥にしまってきた声、誰にも届かずに消えていった声。そのどれもが、町の空気に、風に、石畳に、いまも潜んでいるのです。

どうぞ皆さん、耳を澄ませてみてください。語られるのは昔の話かもしれません。けれど、その声はもしかしたら、今この瞬間のあなたに、語りかけているのかもしれませんよ。

参加案内

日程

  • 7/5(土)・7/20(日) 18:00から
  • 8/10(日)・8/24(日) 17:50から
  • 9/14(日)・9/28(日) 18:00から

ツアー時間 約2時間

料金について

おとな(中学生以上) 3,800円(税込)
こども(満6歳以上) 2,000円(税込)

注意事項

  • 本ツアーは夜間の屋外を歩くコースとなります。歩きやすい靴・服装でお越しください。
  • 天候や安全上の理由により、一部コースの変更または中止となる場合があります。中止の場合は出発の3時間前までにご連絡いたします。
  • 小学生の方は、必ず保護者の方と一緒にご参加ください。
  • お客様ご自身でライトや懐中電灯の持ち込みは可能ですが、演出の都合上、光の使用は語り部の指示に従ってください。
  • ツアー中、大きな音・急な演出が含まれる場合があります。心臓に疾患のある方や妊娠中の方は事前にご相談ください。
  • コース中の写真撮影は可能ですが、フラッシュの使用はご遠慮ください。
    また、ツアーの「とある章」では「写真に映ってはいけないものが…」という噂もございます。どうぞご注意を。
  • ご参加者様の不注意による怪我・事故等については責任を負いかねます。スタッフの案内に従い、安全なご参加をお願いいたします。
  • 何かが起きても…スタッフのせいにはしないでくださいね。

参加者の声

  • 五感で感じる物語

    夜の松江を歩くツアーは、まるで物語の中を旅しているような感覚でした。語り部の声も雰囲気にぴったりで、五感ごと引き込まれるような幻想的な時間でした。彼との旅の中でも特に印象に残る体験になりました。

  • 地元が新しくなる

    夜の松江を歩くツアーは、まるで物語の中を旅しているような感覚でした。語り部の声も雰囲気にぴったりで、五感ごと引き込まれるような幻想的な時間でした。彼との旅の中でも特に印象に残る体験になりました。

  • 静けさが美しい

    怪談と聞いて少し身構えていましたが、静けさや情緒が際立つ、大人が楽しめる素敵なツアーでした。語り部の方の声や話し方に引き込まれて、町そのものが語っているように感じたのが印象的でした。

  • 非日常が始まる夜

    出張ついでに参加してみたら、想像以上に本格的で驚きました。語り部の語りや演出がとにかく丁寧で、気づいたら夢中になっていました。観光では味わえない、静かだけど、どこか心に残る。そんな不思議な夜でした。